来たわね
今日僕が保育園で子どもたちに「おはよう!今日もかわいいね。そういえばさ、今朝めっちゃ寒くなかった!?寒かったよねぇ~!!昨日先生のお家でさ、あられ降ってきたんだよ!わかる!?あられって。あの、ひな祭りに食べるあられじゃないよ?(笑)あれはひなあられだからね。空から降ってくる冷たい霰の方。あれがドーッ!!っていきなり降ってきたわけ。その時先生ハンバーグなんか作ってて。あっ、先生料理するのまあまあ好きなの。昨日は最高のハンバーグ「よっしゃできたぁ!!!最高の出来上がり!!泣けるぜぃ!!」ってしゃべってたらあられがドーッ!!って降ってきたの。まじでビビったからね。えっみんなのおうちでは降らなかったの!?降ったよね!?すごかったよねー!!」
って会話してる時ある男の子がトコトコトコって、登園してきたのね。僕はすかさずその子に挨拶したの。「○○くん!おはよう!!」って。そしたらその男の子、なんて言ったと思う?
「おはようっ!先生今日もかっこいいね!!」
天使か。
えっ、普通こんなこと言う!?保育園に通ってる子どもだよ!?大人でもこんなことめったに言わないよ!?どうなってんの!?
保育園の子どもは本当にかわいいです。ですが、そのかわいさも遊び方を間違えれば一瞬で命を落とします。
わかりますか?保育園の遊びには必ず先生が付いています。そして遊ぶ前に、ほとんどの保育園でやっているであろう遊びの指導が入ります。いや、入れなくてはならないんです。
僕が子どものころお母さんから聞いた話にこんなのがありました。ある小学生の女の子の話です。
「先生さよなら!○○ちゃん一緒に帰ろう!」
「あっ待ってよ!」
学校の授業が終わり女の子二人はお家へと帰ろうとしていました。
「私たちっていつも仲良しだよね」
「うん!だって友達だもん!遊ぶときは絶対いっしょ!離れて遊ぶなんてツマラナイもん!」
そう言いながら歩道でスキップしながら帰る二人。時には脇道を見つけては二人で走って入ってみたり、二人にとっては帰り道も絶好の遊び環境でした。
「ねえねえ、この線路ってどこまで続いているのかなぁ?」
一人の女の子が言いました。
「え~っ?わかんなーい!・・・あっ、あそこにいるのって同じクラスの○○くんじゃない?」
なんと、女の子が指をさしたその先には線路の上で何やらしゃがんでる男の子がいたのです。
「おーい!そんなところでなにしてるのー?」
女の子二人はその○○くんの近くに駆け寄りました。
「足が、抜けないの。何度も何度も引っ張ってるんだけど、ここから動けなくなっちゃったの。」
「えっ」
女の子二人は驚きの表情をしたと同時に、何やら嫌な予感がしました。足が抜けない男の子の顔は涙と鼻水でぐしょぐしょになっています。
「引っ張ろう!私たちも手伝うから!ねえ○○ちゃんそっち持って!」
「うん!私はこっちから引っ張ってみる!せーのっ!!」
男の子の足は線路に挟まってしまっており、簡単に抜けそうにもありません。
「近くの大人を誰か呼んだ方がいいんじゃ」
「確かに!誰かいませんかー!!誰か助けてー!!!」
女の子二人は懸命に叫んでいましたが、この時大人たちは来ませんでした。
「うっうっ、ううう・・・」
男の子は涙を懸命に抑えようとします。
「もう僕の足なんかどうなったっていい!!くそっ!!抜けろ!!抜けろおおおおおお!!!」
「「せーのっ!!!」」
3人が力を合わせて引っ張った時、男の子の足は長い時間を経てようやく抜け出すことができたのです。
ドシンッ
「あいたっ!」
一人の女の子がしりもちをつきました。
カンカンカンカン・・・
踏切の鳴る音が聞こえました
「ねえ、電車が来るよ。早く逃げよう」
一人の女の子が言いました。
「うん・・・、あ、あれ」
「どうしたの?」
「足が、抜けない」
男の子と女の子は自分の顔が真っ青になるのを感じました。
カンカンカンカン・・・
「さっきできたんだから今度だってできるよ!」
「だめ!私、体に力が入らないの!!」
カンカンカンカン
「早く引っ張れ!!このままだと死んじゃうだろ!!」
「わかってる!!でも、でも!!」
カンカンカンカン
「もう間に合わない!!離れないと!!」
「そんな!!離れられないよ!!いつも一緒だって言ってたもん!!」
「誰かー!!誰か助けてー!!」
電車の事故はたくさんあります。しかし、子どもがその事故に巻き込まれるのはあってはならないことなんです。
僕たち保育士と呼ばれている先生は子どもたちにいつもこう言います。
「怪我の無いように、遊んでね」と。
ケガをしてからじゃ遅いんです。ケガをしてから「何ケガしてるのよ!!」と叱ってもダメなんです。
子どもが死んでしまってからでは、遅いんです。だから全国の先生、子どもを育ててらっしゃるお父さんお母さん、そして、これから保育園の先生になるであろう大学生・専門学校に通う学生さん。
私たちで、子どもの命を守っていきましょうよ。遊ぶ前に、たった一言だけでもいいから声をかけてあげましょう。
何回も何回も伝えて、ようやく子どもの心に沁みついていくものなんですから。