「もしあの世で暮らすのと、こっちの世界で暮らすの比べたらどっちが長いかな?」
「え?どうしたの○○ちゃん。」
「普通にこっちの、今お父さんお母さんが生きてるこっちの世界じゃないの?」
「違うんじゃない?だって赤ちゃんとか具合悪くなるとすぐ死んじゃうもん。」
「じゃあ、あの世で暮らす方が長いのかな?」
「もう死んじゃってるもんね~。」
「おじさん、ここは本当に天国なの?僕、死んじゃったの?」
「ここにいるということは、そういうことじゃろ。」
「そんなぁ・・・。」
僕はすごく悲しい気持ちになった。だってもう、保育園の○○くんや○○ちゃんと遊べないし、お父さんお母さんとも会えなくなっちゃったから。
「そんなに落ち込まんでもええじゃろ。」
「誰だって落ち込むよ!もう誰にも会えないんだよ!独りぼっちなんだよ!」
「まぁまぁ、そんなことなかろうて。しばらく待っていればお前さんの家族も友だちもみーんな死んでこっちにやってくる。その時また逢えばええじゃろう。」
(ずいぶん簡単に言ってくれるなぁこのおじさん・・・。)
「それはそうとお前さんの名前は?死んでも名前がわからないと住む家もわからんのでな。」
「え?僕のお家もあるの?」
「何じゃ、何も知らんのか?ここ天国では死ぬ前の世界、つまりあっちの世界でどんな行いをしてきたかによって住む家が建てられていくんじゃよ。」
「どんな行いをしてきたか?」
「例えばさっきお前さんが見た○○くんの家があるじゃろ?」
「うん、立派なお家でとっても大きかった。」
「それはその○○くんが優しいことをいっぱいしているからじゃよ。」
「お父さんお母さんが困っていたらそれを手伝ってあげるとか、誰かが独りぼっちでさみしそうにしていたら一緒に遊んであげるとか、優しいことをすればするほど、天国で住む家は大きくなっていくんじゃ。」
「でも、俺はあの世で暮らすことになっても、こっちの世界でお金持ちになって大きなお家を建てて、おいしいものをいつもいっぱい食べたいな。」
「○○くん、死んじゃったら天国にお家もお金もおいしい食べ物もみーんな持っていけないよ?だってお葬式で焼かれて、骨も粉々にされちゃうもん。魂だけだよ。」
「じゃあ、あっちの世界で大きなお家に住むために、私たちは生きてるのかな?」
「それはそれでおもしろいね!○○ちゃん。」