「ねぇ、○○ちゃんは天国に行ったことある?」
「えっ、そんなの行ったことないよ○○ちゃん。」
「じゃあ、生まれてくる前の記憶は?」
「・・・どういうこと?」
「私のお母さんが言ってたんだけどね、保育園の子どもはみーんな生まれてくる前は天国にいたんだよ。」
「えーっ!?それ本当?」
「本当だよ!お母さんが言ってたもん!私たちは天使だったんだよ!」
「そっかぁ・・・天使の翼はどこいっちゃったんだろうね?」
「どこかで、もげちゃったとか?」
天国があるとか、地獄があるとか、どちらかと言うと僕は信じない方だ。
「ねぇお母さん。」
「どうしたの○○。」
「僕って生まれてくる前はどこにいたのかな?」
「え?そりゃあ、天国じゃないの?」
「え!お母さんもやっぱりそう言うの!?」
「一体何のこと言ってるの?」
「僕は、天国があるとか、地獄があるとか、目に見えないものを信じることは出来ないよ。」
「そう。けど目に見えるものだけが全部というのも限らないんじゃない?」
「それって、どういうこと?」
「ソクラテスって、誰?」
「そうね。話を戻せば、お母さんが聞いた話だけど○○は生まれてくる前『神様、僕このお家に生まれたい!』『そうか、では行ってこい。』って神様と話し合って来たって聞いてるよ?」
「え?僕そんなこと言ってた?」
「天国でそう言ったから○○がこの家にやって来たんでしょ?お母さんは知らないわよ。」
「じゃあ反対に聞くけど、○○はどうしてこの家に生まれてきたの?何か理由があって生まれてきたんでしょ?」
「僕がこの家に生まれてきた理由・・・。」
その日、僕はおかしな夢を見た。
「・・・あれ?ここはどこ?お母さーん!お父さーん!」
「・・・誰もいないのかな。あれっ、あんなところに家が建ってる。」
僕が家の近くまで来ると、そこには見知らぬおじさんがいた。
「おじさんこんにちは。何してるの?」
「うん?ワシかね?ワシはこの家を作っておるのだよ。」
「おじさん一人で?誰のお家なの?」
「この家の持ち主はええと、確か○○の家じゃったかな。」
「えっ!?○○くんの!?」
(こんなところに○○くんのお家あったかなぁ・・・?)
「お前さんはどこから来たんじゃ?なんだか見かけない顔じゃのう・・・。」
「おじさん、僕もよくわからなくて・・・気が付いたらここにいたんです。ここはどこなんですか?」
「ここか?ここは天国じゃよ。」
「て、天国!?」