しゃぼん玉

「わーい!しゃぼん玉だー!」

「ゆうだい先生ー!とばしてー!」

夕焼けが綺麗なこの時間、この保育園の前を通るといつも子どもたちの楽しそうな声が聞こえた。

「しゃぼん玉飛んだ、屋根まで飛んだ、屋根まで飛んで、壊れて消えた。」

「ねぇ、その歌って誰が作ったの?」

突然の声に驚いた私だったが、どうやら私にではなく保育園の先生に対してだったようだ。

「この歌はね、確かあるお父さんが作った歌なんだって。」

「あるお父さん?」

「そ。そのお父さんにはかわいい女の子がいたんだけど・・・。」

「・・・。」

私には「みどり」という女の子の赤ちゃんがいた。みどりは本当に可愛らしくて、お人形の様に綺麗な顔のかわいい赤ちゃんだった。だが、みどりが生まれた7日後、みどりは死んでしまった。

「しゃぼん玉消えた、飛ばずに消えた、産まれてすぐに、壊れて消えた。」

「・・・みどり、どうしてお前はすぐ死んでしまったんだ。」

私は不意をつかれたように涙を流した。

「おじさん、泣いてるの?」

「えっ?」

見ると目の前には小さな女の子がいた。

「ああ、いやごめんね。びっくりさせちゃったみたいで。」

「今ね、割れないしゃぼん玉作ってるんだよ!」

「割れないしゃぼん玉?」

「うん!ゆうだい先生がね、固いしゃぼん玉作れるんだって!○○と○○ちゃんで飛ばすんだー!」

「そっか・・・。」

「うん!もし出来たらおじさんにも割れないしゃぼん玉飛ばしてあげるね!ばいばーい!」

「ああ、ありがとう。」

「割れないしゃぼん玉か・・・。」

もし、みどりが生きていれば今頃あの子たちと一緒に遊んでいたのだろうか。

「ほら!しゃぼん玉できたよー!」

「ゆうだい先生すごーい!見て見て!このしゃぼん玉本当に割れないよー!」

先生の飛ばしたしゃぼん玉はみるみる上へと昇って行き、保育園のてっぺんまで超えて行きそうなほど高く、高く昇っていった。

風、風、吹くな、しゃぼん玉飛ばそ。