「ねえ、○○ちゃんはドーナッツ食べたことある?」
「あるよー!お休みの日にお母さんが作ってくれてとってもおいしかった。」
「私はミスタードーナッツ食べたことある!お母さんがたまに買ってきてくれるの!○○ちゃん急にどうしたの?」
「ドーナッツの真ん中って、なんで穴が開いてるのかな?」
「そう言えば、なんでだろうね。」
「どっかとんでっちゃったのかな?」
私はドーナッツが好きです。どうしてかと言うと、お母さんが私にいつも作ってくれるからです。
「○○、ドーナッツ出来たわよ。」
「ありがとう、お母さん。」
「あれっ?このドーナッツ、真ん中に穴が開いてないよ?ただのまんまるみたい。」
「ああ、それね。余った生地をそのまま揚げたのよ。」
「ふーん、私結構好きかも。」
「えっ?どうして?」
「だって穴が開いてないドーナッツって珍しいから。そう言えば、お母さん。ドーナッツってどうして真ん中が開いてるの?いつも誰かが食べたりしているの?」
「ふふ、お母さんも知らないわよ。保育園の先生とか知ってるんじゃない?例えば、しょうたろう先生とか。」
「あっ!じゃあ今度聞いてみる!わかったらお母さんにも教えてあげるね!」
その日の夜のことです。
「○○船長!大変です!嵐がどんどん強くなって、このままだと船が沈んでしまいます!」
「うろたえるんじゃないよ○○!船の舵は私が取っとくからあんたたちは他の心配しなさい!」
「船長、もう何時間もご飯食べてませんよね。」
「当り前じゃないか!どこにこんな嵐の中のんきに飯食ってる奴がいるんだい!ああ、それにしてもお腹がすいたねぇ。早く○○ちゃんが作ってくれた温かくておいしいパンとシチューが食べたいよ・・・。」
「船長、シチューとパンではありませんがドーナッツを持ってきました。○○ちゃんからの手作りです。」
「おおっ!さすが○○ちゃんだ!気が利くねぇ。・・・ってあら。このドーナッツ、真ん中に穴が開いていないじゃないか。」
「えっ、何を言っているのですか船長。ドーナッツに穴なんか開いてませんよ?」
「何言ってるのはあんたでしょうが!まぁいい、○○ちゃんに免じてありがたくもらっとくよ!」
「まったくそれにしても穴が開いてないドーナッツだなんて、私のお母さんじゃないんだから。」
「あっ!そうだ、この舵の取っ手にドーナッツを刺して穴を開けちゃえばいいんだ。えいっ!」
「あれ、船長そのおいしそうなお菓子はどうしたんです?」
「ああ、○○。今起きたのかい。これはドーナッツだよ。」
「へぇー。ドーナッツって言うんですか。初めて見たかもしれませんね。」
「そうかい?○○ちゃんに頼めばたぶん作ってくれると思うよ。」
「そうなんですか!じゃあ早速○○ちゃんの所に行ってきます。」
「・・・〇、○○!起きなさい!保育園に遅れるわよ!」
「あれ、お母さん?ドーナッツは?」
「何寝ぼけてるの!早く起きて着替えて、ご飯食べなさい!」
「うん・・・。」
「・・・ドーナッツの真ん中がどうして開いてるのか、わかったかもしれない。」