「先生、命って何ですか?」
僕はなんとなくナナ先生に聞いてみた。
「命とは、時間ですよ。○○くん。」
「時間?」
「そう、時間。朝起きて保育園行って何をしてきたのか。その時間のこと。」
「○○くんは、どうして保育園に行ってるの?」
「それは・・・お父さんお母さんが保育園に連れてってくれるから、行けっていうから。」
「そうだね。お父さんお母さんの言うことは絶対聞かなきゃいけないもんね。」
「じゃあさ、質問を変えるよ?○○くんは明日死ぬとしたら、保育園に行きますか?行きませんか?」
「えっ?」
僕はその言葉の意味がよくわからなかった。けど、ナナ先生の言葉にはちゃんと答えないといけないような気がした。
「・・・わかんない。」
「○○くん、さっき言ったこともう一度言うよ?命とは、時間です。保育園に行く理由は何もお父さんお母さんに行けって言われたからだけじゃないんだよ。楽しいから行きたい、みんなと遊びたいから行きたいとか、○○君自身の気持ちもあるんだよ。」
「○○くんは、お父さんお母さんに行けって言われたから行く保育園って楽しいと思う?」
「ううん、思わない。」
「そうだよね。だって○○くんの気持ちが無いんだもの。それってさ、死んじゃった人と大して変わらないよね?だって死んだ人って何も言わないんだもの。気持ちも心も無いもの。」
「つまり命ってのは自分の時間のことなんだよ。自分の『鬼ごっこやりたい!』とか『塗り絵したい!怖い話聞きたい!』とか色んな気持ちが無ければ、死んでるのと一緒なんだよ。そして大人でも生きてるのに死んでる人って、たくさんいるんだよ。それってさ、たとえ100歳まで生きたとしても意味ないよね?大事なのは死ぬまでの間にどれだけ自分の時間を生きたのかなんだよ。」