「やっぱり助けてあげなければよかったのかなぁ」
「どうして?」
「だって、助けてあげても結局裏切られるし、助けてあげても結局いいことなかったもん。」
「・・・○○、今からお母さん大事なこと言うからよく聞きなさい。」
「えっ?」
「助けた人のことを考えるんじゃなく、人を助けた自分のことを大切にしなさい。いい?もう一度言うよ?助けた子のことじゃなく、いじめられていた子を助けてあげた、自分を大切にするの。」
「自分を大切にする?」
「そう。いじめられてた子を助けてあげたのは誰?」
「僕。」
「でしょ?人を助けてあげるっていうのはひとりぼっちでもあるの。だって『欲しいものをお母さんに買ってもらえるから。』とか『あの子を助ければみんなが褒めてくれる。』とかそんなものじゃないでしょ?○○が、いじめられている誰かを見たくなかったから、それで助けたんでしょ?それって誰のため?」
「自分のため・・・。」
「わかってるじゃない。お母さんだって嫌だよ。誰かが近くでいじめられているのを見るなんて。そんなところ一秒もいたくないわ。」